恥部の思想

アイドルについての書かれない報告

Maison book girlを「読む」

summer continue

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ドルオタである以前に、私は重度のブック・ジャンキーなので、女の子とイチャイチャしながら、好きな本や作家について語りあいたいな……、なんて妄想を抱いたりするのだけど、そんな本好きな女の子とは一度も知り合えないのだった。


本好きな女の子はドコにいるのか。見つけたとしても、私は声をかける事が出来るのか。もちろん、本好きの女の子なら、誰でも良いわけじゃない。ルックスは当然、私好みであって欲しいし、自意識過剰な文系女子はカンベンだから、近寄らないでほしい。あと、出来れば長身女子の方が……。


そんな事をあ〜だの、こ〜だの考えて十数年、グループ名に「本」という単語を入った、アイドルグループに出会い、私は、すぐさま恋に落ちてしまったのだった。


Maison book girlメゾン・ブック・ガール


その響きから連想するのは荻窪や、吉祥寺に点在する、雑貨や絵本やレコードなんかも取り扱う小洒落た古本屋。ちょっといけ好かない感じのお店だし、私の求める本は、あまり置いてなさそうだ。そもそも、Maison book girlのbookが、「文学」である可能性は低い。だいたい、メンバーだれもプロフィールに趣味:読書と書いていない。


しかし、まあ、そんな事はどうでもよい。maison book girlという4人の儚げな美少女を前にして、対立法的読解が云々、内向の世代は云々、21世紀に文学が書かれる意味は云々、なんて、辛気臭い話しをするなんて、まったくもって野暮な事だ。「本のある生活って良いよね」ぐらいの軽やかさで、本と戯れ、Maison book girlと戯れる事。そう、メンバーとのチェキ会での接触の時間は、ほんとに短い。だから、その時間を有効に使う事。


先ほど私はMaison book girを、「儚い」と評した。その歌世界といい、佇まいといい、写真などのヴィジュアルイメージといい、Maison book girlには今にも消え入りそうな儚い美しさがある。やがて絶滅するという紙の「本(book)」……その儚さは、そんな「本(book)」なるキーワードを、グループ名に取り入れてしまったアイドルグループの暗い運命を物語っているのかもしれない。


私の愛した紙の本はもうすぐ消える。でも、maison  book  girlは消えないように、この世に唯一残った「本(book)」にMaison book girlがなるように。そして「本」というものが存在した、その存在証明にMaison book girlがなるように……、私は今日もチェキ会に最低4回は並ぶのだった。