とみにか共和国で迷子になって
また、彼女は、ラテンからテクノ、現代音楽、ニッチなワールドミュージック、J-POPや、アイドルソングまで聴き漁るディープな音楽リスナーであり、勉強家である。なので接触の際は音楽話しで盛り上がる。女の子と、そんなモテなそうな会話出来るなんて楽しい、楽しいのだけど、接触が終わり、我に帰った瞬間、不思議な気分になる。こんなカワイイ子がどうして?、と。
とみにか共和国について考える度に、「アイドル」、「アーティスト」、「音楽」、「オタク」「芸能」「芸術」という単語たちが、結びついたり離れたり、四方八方に分散して宙に舞い、なんだよくわからなくなる。とみにか共和国のオタクでいることは楽しい、楽しいのだけど、なんだか居心地が悪かったりもする。とみにか共和国という名の迷路で迷子になりそうだから。
とみにか共和国は「治安悪い系アイドル」を自称している。不快感を煽るハードコアを奏でるから「治安が悪い」のだと思っていたが違う、それだけじゃない事に今気付いた。音楽性だけじゃなく、オタクが陥るそんな居心地の悪さも含めて「治安が悪い」のだ、と。そして、治安の悪さ故に、とみにか共和国ではイケないクスリや、暴力や、お金でかえるセックスや、アレやコレやらが横行していて、居心地わるいけど、快楽には一切事欠かない。
国からの逃亡は、困った事になかなか難しそうだ。